夏の気くばり vol.11

口の開け過ぎ、脱臼に注意

 旧盆が過ぎて幾分涼しくなりましたが、夜はまだ残暑のため寝苦しい日もあります。眠気や疲れで無意識のうちに出るのが「あくび」です。

  あくびは血液中の酸素の不足が原因と言われています。無意識に口を大きく開けるあくびのほか、飲み過ぎ、食べ過ぎなどで気持ちが悪くなり、食べたものを吐き出す際に思わず口を大きく開け過ぎて、元に戻らなくなることがあります。慌てて戻そうとしているうちに痛みやだるさが出て、ガーゼやハンカチで口を押さえながら接骨院に走り込んでくる人が、案外多いのです。

  左右両方の顎の関節が脱臼したために起こる症状で、まれに片方だけ脱臼している人もいます。顎の関節は、左右にも動かせますが、主な運動は上下に動かすチョウツガイ運動であり、大きく開け過ぎると、関節結節という壁を越えて骨が前方に出てしまって口を閉じることができなくなります。

  会話する際も、言葉が不明瞭ですが、何とか聞き取ることはできます。治療はほとんどの場合、簡単に元に戻すことができますが、まれに痛みや恐怖心で筋肉の緊張が強いと、それを解くために多少時間をかけなければならないこともあります。また中には習慣性になって何回も顎の関節を脱臼することもありますので、口を大きく開けるときは、くれぐれも注意してください。

  すべての脱臼は、関節を包んでいる筋肉を鍛えることで予防できますが、顎も日ごろから咀嚼を入念に行うよう心掛けましょう。


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